赤道直下に位置する多様性の国

エクアドルは、南アメリカ西部・赤道直下に位置しています。
北はコロンビア、東と南にペルーと国境を接し、 西は太平洋に面しています。
進化論のヒントとなったガラパゴス諸島は本土から約1,000km離れたところに位置します。首都はキトですが、商業の中心地であるグアヤキルが最大の都市です。
なお、国名のエクアドルはスペイン語で『赤道』を意味します。

基礎データ

国名 エクアドル共和国 Republica del Ecuador
国旗 黄色が太陽と黄金を表し、青は空と海、赤は植民地時代のスペインから独立する際に流された血を意味しています。中央部分を良くみると、紋章の上部はアンデス文化と力の象徴であるコンドルが、真ん中には国内最高峰であるチンボラッソ山、グアヤス川に浮かぶ舟、そして太陽が描かれており国を象徴するシンボルと言えます。
首都 キト
国土 25.6万平方キロメートル(日本の約3分の2。)
人口 約1,740万人 (2020年)
公用語 スペイン語(先住民の間ではキチュア語やシュアル語など稀少言語も使われる)
宗教 大多数がカトリック教
時差 日本と-14時間(ガラパゴスは-15時間)
通貨 米ドル(USD)
主要産品 石油、バナナ、コーヒー、カカオ、エビ、生花(バラ)

気候

アンデス地方にあるキトは朝晩は冷え込みますが昼は20度前後まであがり暖かいです。
年中日本の春のような気候なので「永遠の春」と言われています。
グアヤキルは海岸地方にあるため湿気があり日本の夏のような蒸し暑さです。

外出時の服装

朝晩はカーディガンなど羽織るものがあれば◎。
昼間は暑いのでTシャツで過ごせます。
赤道直下で日差しがとても強いので、日焼け止めを塗り、帽子・サングラスを着用されることをお勧めします。

電圧・プラグ

エクアドルの電圧は120V。
ACアダプターが240ボルトまで対応している日本の家電製品はエクアドルで使用可能。
日本のコンセントはエクアドルでも使えます。

ビザ

観光ビザの発行は不要です。(滞在日数90日以内の場合)
◎エクアドル入国時、パスポートは有効期限6カ月以上必要です。

エクアドルを構成する4つの地域

エクアドルには大きく分けて、世界でも特殊な環境のガラパゴス諸島、太平洋岸地方(コスタ)、アンデス地方(シエラ)、奥アマゾン(オリエンテ)、4つの地域があります。

独自の進化を続ける動物の楽園ガラパゴス諸島

ガラパゴスはスペイン語で「ゾウガメ」を意味しこの島の名の由来と言われています。エクアドル本土からは約1,000km離れた孤島です。
ガラパゴスゾウガメを始めとする、唯一海を泳ぐイグアナや飛ばないコバネウなど多くの固有種が生息しております。
ガラパゴス諸島には、世界中でここでしか見ることの出来ない数多くの生物が生息しており、「動物の楽園」と呼ばれています。
今も尚、動物たちは独自の進化を続けています。

エクアドル最大の商業都市太平洋岸地方

沖合で寒流と暖流がぶつかるため、比較的穏やかな熱帯気候と降雨に恵まれた低地です。
赤道直下のエクアドルでは一年中サーフィンが可能なため、ビーチには世界中からサーファーが集まります。
沖合は鯨がやってくる好漁場、低地には広大な農地が広がります。
グアヤス川河口を数十キロ遡った港町グアヤキルから多くの農産物が積み出され、エクアドル最大の商業都市となっています。

冒険家を魅了するアンデス山脈アンデス地方

エクアドルの魅力はガラパゴス諸島や奥アマゾンジャングルだけではありません。
標高2,850mに位置する首都キトが属するエクアドルアンデスには、世界でも有数の火山があり、多くの登山家や冒険家を魅了し続けています。
その代表格が世界一高い活火山コトパクシ(5,897m)や地球の中心から測ると世界一標高の高いチンボラッソ(6,268m)です。
山へのアプローチの便利さや、山々が集中しているためエクアドルアンデスは世界の登山家の間でとても有名です。

手つかずの自然が多く残る奥アマゾン

アンデス山脈の東側に位置するアマゾン川の源流域です。
年間を通し雨が降り、高温多湿の熱帯雨林が広がります。
手つかずの自然が多く残されており、珍しい動植物や昆虫の宝庫です。
また、いまだ文明との接触を拒み続けている先住民の部族も複数存在していることが知られています。

自然環境の多様性

エクアドルは地球の陸地面積の0.02%ほどにしか過ぎない小さな国ですが、世界で最も生物多様性に富む国の一つとされています。
例えば、エクアドルは世界中のバードウォッチャーの聖地となっており、約130種以上のハチドリなど約1,600種の野鳥が生息するなど、世界の鳥種の約6分の1を有しています。

植物も豊富で、特に蘭の宝庫です。エクアドルのアンデスや奥アマゾンの原生林では未発見のものも含めて5,000種以上の蘭が存在すると言われています。
またチャールズ・ダーウィンの進化論にヒントを与えたガラパゴス諸島の固有の生物は世界に広く知られています。

南米解放の英雄シモン・ボリーバル

エクアドルの歴史を遡ると、一般的には、紀元前12,000年頃までにアジアから渡ってきた人々に、ポリネシアから海を越えてやってきた人々が加わり、この地に定着したと考えられています。
首都キトでは紀元前9,000年頃の石器が、また太平洋岸地方では縄文土器に似た土器が発見され、紀元前3,000年頃にこの地にバルディビア文明が発展していたことを示しています。
14世紀にペルーからインカ帝国が急速に拡大すると、15世紀には、以前から生息していた先住民たちは度重なる戦争及び、婚姻関係を結ぶことでインカ帝国によって征服されていき、北はエクアドルとコロンビアとの国境、南はチリ北部にいたる南北4000kmを支配するまでの大帝国になりました。
しかしながらインカ帝国の終焉は思ったより早く訪れました。

末期の皇帝ワイナ・カパックには二人の息子がいたため、死後、アタワルパ(Atahualpa)に第二都市のキト、もう一人の息子ワスカルに首都クスコを支配させることを提案しました。
しかし、ワイナ・カパックが亡くなると二人は王位継承をめぐって争いました。

ちょうどその頃、フランシスコ・ピサロが指揮するスペイン軍が、内戦によって引き裂かれたインカ帝国に到着しました。
アタワルパはワスカルを破り即位、インカ帝国の再統一に成功したものの、ピサロはこの兄弟の不仲を巧みに利用し、 1532年11月にアタワルパを捕らえ処刑しました。

こののち、現在のエクアドルに相当する地域はスペインの植民地となります。
1822年、ピチンチャの戦いの後、エクアドルはスペインの植民地支配から独立、現在のベネズエラやコロンビアとともに南米解放の英雄シモン・ボリーバルの統率するグランコロンビアの中に併合されました。
1830年にグランコロンビアは解体、以後独立国として存続しています。
その後、穏健保守派と軍事政権が入れ替わり登場してきましたが、いかなる統治の下でも穏健な政治体制を崩すことはありませんでした。

言語

公用語はスペイン語ですが、南米の中でもインディヘナ(先住民)の割合が多い国で、Kichwa, Shuar, Achuar, Chachi, Epera, Huaorani, Siona, Secoya, Awa, Tsáchila y Cofán, Zápara族によって使用される多様な稀少言語が存在しています。中でもキチュア語やシュアル語は比較的、耳にする機会があります。

食文化

魚介類の豊富な海岸線や、高地、ジャングルなど、多彩な地域を持つエクアドルは、地方によってその食文化もさまざまです。
さらに、先住民の食文化とスペイン料理、イタリア料理、黒人の食文化が混ざった、豊かな食文化となっています。
例えば、すりおろしたトマトと、玉ネギ、ニンニク、レモン、香草で作ったドレッシングに、軽く茹でた新鮮な魚介類を入れた料理、セビーチェはよく知られた料理です。

手工芸品

パナマ帽

パナマ運河建設時、アメリカのセオドア・ルーズベルト大統領が被っていたことで世界に知られるようになったのがきっかけでパナマ帽と呼ばれていますが、実はエクアドルが発祥地です。
その発祥は古く、エクアドルの海岸線の中でも赤道付近に暮らした先住民たちが原型となるものを被っていたと言われています。
現在ではエクアドルを代表する商品として、各国で夏の定番アイテムとなっており、そのスタイルに見せられた多くの著名人やブランドに取り上げられるファッションアイテムとなっています。

タグア

タグアは中南米地域に分布する「アメリカゾウゲヤシ」と呼ばれる植物です。
完熟した種子の中が象牙のように乳白色で硬くなることから象牙の代用品としてボタンや装飾品などの材料に古くから使われてきました。

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