島の名前の由来となったガラパゴスゾウガメ
ガラパゴスの語源はスペイン語で「鞍」を意味する「Galápago(ガラパゴ)」、Islas Gápagaosは「ゾウガメたちの島々」を意味しています。
そんなガラパゴス諸島の名前の由来ともなり、最も愛されている生き物の一つであるガラパゴスゾウガメについてご紹介します。
ガラパゴスゾウガメの生態
ガラパゴスゾウガメの体長は最大1.5メートルと大きく、体重は250〜400kgです。
オスの尻尾は長く大きく、メスは尻尾が小さいのが特徴です。また、交尾の際にオスはメスの上に乗るため、メスの甲羅は比較的小さく平らになっています。
聴覚や視覚は弱く、地面から感じる振動などから危険を察知します。声帯はないため、威嚇や交尾の時に発する音は呼吸の摩擦音です。
また、水や食料、交尾相手を見つけるためとても敏感な嗅覚をもっています。
ガラパゴスゾウガメの甲羅は、大きく分けて鞍型、ドーム型、中間型の3種類に分類されます。
寿命は長く、野生下では約100年、飼育下では最長170年生きることができます。
大きな体とその長寿の神秘性から、ガラパゴスゾウガメは多くの科学者を魅了しており、数多くの研究対象となっています。
ライフスタイル
ガラパゴスゾウガメは非常に穏やかで静かな生活を送っています。
彼らは草食で、葉や草、サボテン、木の実などの植物全般を食べ、1日あたり36キロほど摂取することができます。
代謝が非常に遅く、体内に水分をたくさん蓄えることができるため、毎日食事をとる必要はなく、食事や水分がなくとも1年は生きることができます。
ドーム型の甲羅を持つガラパゴスゾウガメは植物が生い茂り湿気が多く、泥の水溜まりがあるような緑豊かで涼しい高地に住んでいます。
一方、鞍型はサボテンが生えた植物が少ない乾燥した地域に住んでいて、頭上より上にある植物や木の実を食べるため首が長くなり甲羅も隆起した形になっているのです。
彼らは太陽の下でのんびりと過ごし、1日約16時間睡眠を楽しみます。なんとも平和で理想的な生活ですね。
現存する種
チャールズ・ダーウィンがガラパゴスを訪れた時には15亜種(※独立種とする説もあります)のゾウガメが生存していました。
しかし17世紀〜19世紀にかけてガラパゴス諸島にやってきた船の乗組員や海賊たち、入植者が食用目的で乱獲し、さらに人間が持ち込んだイヌやネコ、ネズミ、牛、ヤギなどによってゾウガメたちの餌となる食料が減ってしまったり、産んだ卵を食べられてしまったりしたことが原因で4種が絶滅しました。
現在は少なくとも11種の生存が確認されています。
1970年代には約3千頭まで減少しましたが、繁殖保護センターや多くの人々の弛まぬ努力の結果、現在は諸島全体で1万5千〜2万頭が生存していると推定されています。
ガラパゴスゾウガメを見るのに最適な時期は?
ガラパゴス諸島では一年中ガラパゴスゾウガメを見ることができます。
繁殖センターでも野生でも種ごとに異なる甲羅の形や特徴をはっきりと観察することができます。
交尾と産卵
ガラパゴスゾウガメの繁殖期は通常、高地では乾季(6月から11月)で、低地では雨季(1月から4月)に産卵されます。
メスは1回の産卵で土の中に約20個の卵を産みます。孵化までは通常120日前後とされています。
穏やかで暮らしと反して、ガラパゴスゾウガメの交尾は驚くほど攻撃的です。
オスはメスをめぐって互いに戦い、首を伸ばしたり、後ろ足で立ち上がったりして、ライバルよりも体を大きく見せます。
また、シューシューという威嚇音を発しながら、時折相手の首に噛み付きます。相手よりも頭が高い位置にある方が勝者となります。
勝者はメスの上に乗り、大きなうめき声を出しながら交尾をします。甲羅がぶつかる音とそのうめき声の交尾の光景をみるとその迫力に少しびっくりするかもしれません。
さらに驚くべきことに、メスはパートナーの精子を後で使用できるよう、少なくとも 7 年間は体内に保存できるのです。
ゾウガメたちはどのようにしてガラパゴスにやってきた?
ガラパゴスゾウガメは、もともとアルゼンチンとパラグアイに生息する通常の大きさの種であるチャコガメの子孫であることが知られています。
では、エクアドル本土から西に約1000km離れているガラパゴス諸島に一体どのようにしてやってきたのでしょうか。
実はゾウガメはその甲羅の大きさのおかげで海の上で沈むことなく浮くことができます。
さらに食べ物や水がなくても最長 1 年間生きることができるため、約200万年から300万年前にフンボルト海流などに乗って、ガラパゴス諸島に初めて到達した可能性が高いとみられています。
たどり着いた島の植生に合わせてそれぞれの種に進化を遂げていきました。
ロンサムジョージ
ロンサム・ジョージ(Lonesome George)は、ガラパゴス諸島で最後のピンタ島のゾウガメとして有名なゾウガメです。
ピンタ島ゾウガメはガラパゴス諸島の中でも最も珍しい種の一つでしたが、1971年に発見されたロンサム・ジョージは、その後、この種の最後の生き残りであると考えられました。
彼はピンタ島の北西部にあるウォルフ火山の斜面で発見されましたが、当時は他のピンタ島ゾウガメが見つかりませんでした。
さまざまな試みがなされましたが、ロンサム・ジョージは仲間を見つけることができず、その結果、彼は「ロンサム(孤独な)」という名前がつけられました。
ロンサム・ジョージは長い間、絶滅危惧種として保護され、繁殖プログラムに取り組まれました。
しかし、彼は他のメスと後尾をすることなく、2012年6月24日にガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所で死亡し当時約100歳と推定されました。
彼の死は、ピンタ島ゾウガメの種の絶滅を象徴するものとして世界中に広く認識され、この悲しいニュースは日本でも大きく取り上げられました。
ガラパゴスゾウガメの豆知識
チャールズ・ダーウィンとその乗組員は、食料として 30 匹の生きたゾウカメを捕獲し、4 匹の赤ちゃんカメもペットとして連れて行きました。
ダーウィンは日記の中で、故郷への航海のためにビーグル号の乗組員に加わったジェームズという名の若いガラパゴスゾウガメについて言及しました。
それ以降のジェームズの生涯についてはほとんど知られていませんが、彼の遺体は現在 ロンドンの自然史博物館に保管されています。
ガラパゴスゾウガメはガラパゴスフィンチと共生関係にあります。フィンチはカメの上や周りを這って昆虫や寄生虫を食べます。フィンチはおいしい食事が得られ、カメは寄生虫が駆除されるためお互いに支えあっているのです。
ガラパゴスゾウガメの性別が決まるのは孵化中の卵の温度によって変動します。気温が高いとメスが生まれ、気温が低いとオスが生まれます。
いかがでしたでしょうか
ガラパゴスゾウガメはガラパゴス諸島で最も人気のある動物の一つです。
ガラパゴス諸島への訪問は、ガラパゴスゾウガメ見ずして終えることはできません。
ガラパゴス諸島に訪れた際には、野生のゾウガメだけではなく、研究所や繁殖センターにいる赤ちゃんゾウガメ両方に会っていただきたいです。
そして何百万年も前に南米大陸から遠く離れたガラパゴス諸島にたどり着き、それぞれの島で進化遂げていったゾウガメたちに思いを馳せてみてください。