ガラパゴスの特別なウミイグアナ
ガラパゴス諸島を訪れると必ず目にする生き物のひとつがウミイグアナ(英名:Galápagos Marine Iguana)です。
ゴジラのような見た目で、ガラパゴス諸島ならではの進化の象徴であるウミイグアナは世界で唯一、海に潜るイグアナとして知られています。

まるでゴジラのようなウミイグアナ
ここでは、そのユニークな魅力を4つの視点からご紹介します。
ウミイグアナの特徴
ウミイグアナは黒や灰色の体色を持ち、太陽の熱を効率よく吸収することで体温を保ちます。
背中にはとげのようなが背びれが並び、長い尾は縦に平べったくパドルのような形状をしており、波の強い海でも安定して泳ぐことができます。
オスの体長は最大で1.5メートルに達し、島ごとに大きさや色が少しずつ異なります。
特にエスパニョーラ島のウミイグアナは赤や鮮やかな緑を帯び、「クリスマス・イグアナ」と呼ばれています。

エスパニョーラ島のウミイグアナ
食べ物・捕食行動
ウミイグアナの主食は海藻です。朝、太陽の光で体を温めると、冷たい海に潜り込み、岩に付いた海藻を鋭い歯で削り取ります。
岩をしっかりと爪でつかむことで、海流に流されずに食事ができるのです。一度の潜水で数分間も水中にとどまり、深さ10メートル以上に潜ることもあり、まさに自然界のダイバー。

顔を出して泳いでいる様子
体格の大きいオスは、沖の方や波の強い場所でも海藻を食べることができますが、体の小さなメスや子どもは岩場に張り付き、潮が引いて藻類が顔を出すのを待ちます。
食事を終えて陸に上がると、鼻から「シュッ」と塩を吹き出す姿が見られます。この行動は、体内に蓄積された余分な塩分を排出するためのもの。ウミイグアナは鼻を通る血管で塩分をろ過し、定期的にくしゃみのような動作で排出します。そのため、顔の周りに塩の結晶が付いた個体がよく見られます。

よく見ると顔の周りが塩の結晶に覆われている
これはウミイグアナの進化の中で獲得した非常に興味深い生物学的メカニズムのひとつですが、くしゃみをしているようなユニークな姿は観光客にも大人気!
生息地と繁殖
ウミイグアナはガラパゴス諸島全域の海岸沿い、特に黒い溶岩と砂浜が入り混じる場所を好んで暮らしています。
日中は岩の上で群れをなし、寒いときには体を寄せ合って暖をとっている光景をよく目にします。

みんなで集まって暖をとるウミイグアナ
繁殖期は1月から3月ごろ。オスは縄張りを主張し合い、勝ち残った個体がメスと繁殖します。
メスは砂地に穴を掘って卵を産み、その後の子育ては一切ありません。孵化した子どもたちは、自力で生き延びなければならないのです。
毎年5月から7月頃には、何千匹もの小さなウミイグアナが砂浜から姿を現す光景が見られ、自然の奇跡を感じさせます。
ウミイグアナは世界で唯一、海洋生活に適応したイグアナであり、ガラパゴス諸島の海洋および沿岸生態系にとって非常に重要です。そのため、彼らの保護はガラパゴスの生物多様性を守るうえで欠かせない取り組みとなっています。

ベイビーウミイグアナ
ウミイグアナを守るために
ウミイグアナは進化の奇跡ともいえる存在ですが、外来種の犬や猫、ネズミによって卵や幼体が食べられてしまう被害が後を絶ちません。
さらに、エルニーニョ現象による海水温の上昇は海藻を減少させ、個体数に深刻な影響を与えることもあります。
ウミイグアナはガラパゴス諸島固有の種であるだけでなく、海洋生態系の重要な要素でもあります。藻類を餌として利用することで、海洋世界のダイナミクスを維持し、藻類の増殖を抑制し、他の生物の繁栄を促しています。
現在、ガラパゴス国立公園と研究機関が連携し、外来種の駆除やモニタリングを続けています。ガラパゴス諸島に訪れる際には、野生動物と「距離を保ち、触れず、餌を与えない」というルールを必ず守りましょう。

日光浴中のウミイグアナ
ガラパゴスのウミイグアナは、厳しい自然環境に適応した世界で唯一海に潜る不思議なイグアナです。
その姿を間近に観察できるのは、世界でもガラパゴス諸島だけ。
ぜひ島を訪れた際には、黒い溶岩の上で日光浴をする彼らの姿を探してみてください。