ガラパゴス諸島に生息している3種のカツオドリについてご紹介します!
おバカさん?優秀なハンター?Boboと呼ばれた鳥たち
カツオドリは英語名でBooby(ブービー)、その意味は「ピエロ」や「おバカさん」。
カツオドリたちは警戒心が強くなく、陸上では赤ちゃんのようにヨチヨチ歩いているため、その姿からスペイン語で「可愛いマヌケ、おバカさん」という意味のある「Bobo(ボボ)」と呼ばれていました。その言葉が転じて英語名ではBoobyと呼ばれるようになったのです。
そんな愛くるしいカツオドリたちですが、一方で優秀なハンターとしての顔も持ち合わせています。
彼らは優れた視力を利用して、上空から円を描きながら獲物を見つけ、30mほどの高さから真っ逆さまに飛び込み、水中25mほど深くダイブし素早く魚を狩ることができるのです。 陸上での愛くるしい姿と空中と水中で狩りをする時の迫力、おバカさんなのか優秀なハンターなのか、そのギャップがより一層観光客を惹きつけるカツオドリたちです。
3種のカツオドリそれぞれの特徴について
〈 アオアシカツオドリ 〉
鮮やかな青い足がチャーミングなガラパゴス諸島を代表するアオアシカツオドリ。
北米から南米にかけて生息していますが、最も多く生息しているのはガラパゴス諸島で、エスパニョーラ島、フェルナンディナ島、バルトロメ島など多くの島々で出会うことができます。
体長は約70〜90cmで翼を広げると最大1.5m、平均寿命は約17年と言われています。小さな瞳孔のある黄色い目を持ち、キョトンとした愛らしい顔をしています。
雄は雌よりも小柄で笛のような高い声、雌はガーガーという低い声でお互いのコミュニケーションを取ります。
雄は足の色が美しいターコイズ色であるほど魅力的とされていて、求愛行動の際にはその自慢の足を高く上げステップを踏み、尾羽を広げ、目当ての雌に見せつけます。
雛の足は青くなく、新鮮な魚を食べることで得られるカロテノイド色素によって成長と共に青くなります。
また、48時間餌を食べないと足の色は薄くなり、餌を食べると再び鮮やかな色に戻ることが分かっています。
アオアシカツオドリは縄張り意識が強く大きな群れで行動することを好む為、繁殖期には数百羽のコロニーを見ることができます。 一匹でも狩りをしますが、200羽ほどの群れになり海上で狩りをする光景は迫力的です。
〈 ナスカカツオドリ 〉
仮面をつけたようなキリッとした顔とオレンジ色のクチバシが特徴的なナスカカツオドリは、3種の中でも一番大きなカツオドリです。
メキシコからペルーまでの太平洋とガラパゴス諸島に生息していて、最大のコロニーはエスパニョーラ島やサンクリストバル島などです。
体長は最大90cmで翼を広げると最大1.5m、長くて30年生きるとされる長命。遠洋性で風を利用して飛び立つとされているため、上昇気流が起きやすい断崖近くに生息しています。
雌は雄よりも大柄でアヒルのような鳴き声を出し、雄は笛を鳴らします。求愛の際、雄はクチバシと翼を空に向け雌にアピールをし、時には小石や枝をプレゼントし巣を作ります。雛は白くフワフワしており、羽毛が増えると灰色になります。
ナスカカツオドリの特徴としてよく知られているのは、その厳しい兄弟間の生存競争です。
二つの卵が生まれた場合、早く孵った雛は、後から孵った雛に対して、餌を独り占めし巣の外に追い出そうとします。早く孵った雛は必然的に成長が早く、大きさと体重の点でも有利となる為、後から孵った弱い雛は飢えや捕食によって死んでしまいます。
親鳥はその争いに干渉せず、一方が負けてもう一方が強く生き残れるように、間接的に兄弟間の競争を促進させます。 残酷に聞こえるような話ですが、ナスカカツオドリはその美しさだけではなく、厳しい自然世界に起こる事実について考える機会を与えてくれるのです。
〈 アカアシカツオドリ 〉
鮮やかな水色のクチバシと赤色の足のコントラストが特徴的なアカアシカツオドリは他の種のカツオドリに比べて一番小柄な種です。
インド洋、大西洋の亜熱帯地域にも生息していて、ガラパゴス諸島の中ではヘノベサ島やサンクリストバル島のプンタ・ピットなどで出会えます。
体長は約70cmで翼を広げると最大1.1m、平均寿命は約20年と言われています。他の種と異なり、低い木の上や乾いた土地の茂みに巣を作り20羽以下の群れで暮らします。
雄雌は見た目も色も似ており、ガラパゴス諸島では多くの場合羽毛は茶色ですが中には白色の個体も存在しています。くるっとした黒目の顔が可愛らしいです。
他のカツオドリと同様に、小柄ながらに飛ぶこと、潜ること、泳ぐことに非常に長けていて、空中からトビウオやイカなどの獲物を見つけた際には、急降下して水中に深く潜り素早く捕まえる、俊敏なハンターとしての一面も持っています。
アカアシカツオドリはその可愛らしい見た目から、アウトドアブランドCHUMSのキャラクターモデルにもなっています。
異なる種がそれぞれの特性を持ちながら共存している姿を見ることができるのは、ガラパゴス諸島の大きな魅力の一つです。
ぜひカツオドリたちに会いにガラパゴス諸島に訪れてみてください!